内視鏡部門

井上病院 内視鏡部門

当院の内視鏡部門では年間5,000例を超える内視鏡検査および治療を行っており、県下でも有数の消化器専門施設のある病院として高い評価を頂いております。一般外来、入院、健診を中心に最新鋭の電子内視鏡ビデオスコープシステムを駆使し病変の早期発見に努め、早期に発見された病変に対しては下記に示しますような多岐にわたる内視鏡治療を積極的に行い侵襲性の少ない安全な内視鏡治療を患者様に提供いたします。

内視鏡部門の特徴ある診療・治療

(1)各種消化管の早期癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術
(Endoscopic Submucosal Dissection:ESD)
当院では2004年より早期胃癌に対しESDを導入し、現在では早期胃癌のみならず他の消化管(大腸、食道など)の早期癌に対しても積極的にESDを施行しております。
当院では、狭帯域フィルター内視鏡(NBI)も導入しており、NBIや超音波内視鏡(EUS)を用い、正確な術前診断のもとESDを施行致します。ITナイフ、フラッシュナイフ、デュアルナイフ、Hookナイフ、クラッチカッター等を用いたESDでは従来の内視鏡的粘膜切除術に比較し大きな病変でも正確な一括切除が可能となり、外科的切除術に匹敵する根治性を得ることが出来ます。

2018年度からは大学病院や県内の基幹病院で豊富な経験を有する大仁田 賢 医師、中鋪 卓 医師が勤務し症例も増加傾向です。

(2)胆膵系の内視鏡治療
胆膵系疾患は、いわゆる肝臓癌、胆管癌、胆嚢癌、膵臓癌、十二指腸乳頭部癌などの悪性疾患や胆石、総胆管結石、胆管炎、膵石症、膵炎(急性・慢性)などの良性疾患があります。内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)や超音波内視鏡(EUS)を行いCTおよびMRCP等の他の検査所見と合せ総合的に診断を行います。内視鏡的治療は主に良性疾患を対象としますが、悪性疾患でも進行して手術が出来ない場合などに症状を軽減する目的で内視鏡的処置が行われます。

当院における胆道系疾患に対する内視鏡治療は以下の3つに分けられます。

1. 総胆管結石および膵石の除去
2. 胆管狭窄・膵管狭窄に対するドレナージおよびステント留置
3. 膵仮性嚢胞に対する内視鏡的ドレナージ

(3)炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)に対する診療・治療
炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease = IBD)とは、潰瘍性大腸炎とクローン病をさしています。この2つの疾患は原因が明らかではなく、10歳代後半から20歳代の若年者を中心に発症し、寛解(症状が良くなる)と再燃(症状が悪くなる)を繰り返す難治性の慢性炎症性疾患です。これらの疾患は難病のため厚生労働省より特定疾患に指定されております。当院においては牧山 和也 医師、東 俊太朗 医師を中心にこれらの疾患に対し専門的に内視鏡検査、診断、治療を行っており県下あるいは県外から多くの患者さまが紹介受診されております。治療に関しましては従来の治療に加え、抗TNF-α抗体を代表とする生物学的製剤、タクロリムス、血球成分除去療法など、最新の薬剤を導入した治療を積極的に行っております。ただし、同じ炎症性腸疾患でも患者様それぞれの病態や経過は異なっており、これらの治療法も適切に選択し組み合わせて使用する必要や、重症や悪性化を認めた場合、早期の手術を要することがあります。難治性で長期にわたる治療継続を必要とする疾患ですが、上手に病気をコントロールできれば、ほぼ通常の生活を営むことが可能となります。

(4)その他の内視鏡診療および治療

通常内視鏡検査 一般内視鏡検査(健診も含む)
特殊内視鏡検査 拡大内視鏡(NBIも併用)
超音波内視鏡(EUS)
内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)
管腔内超音波内視鏡(IDUS)
消化管の内視鏡治療 食道・胃静脈瘤の内視鏡治療
消化管出血の止血術
食道ステント・拡張術
内視鏡的大腸ポリープ切除術
胃瘻造設術
直腸・S状結腸癌に対する内視鏡ドレナージ

診療実績

 2017年度  2018年度 2019年度
上部内視鏡検査 3,454 1,946 2,039
EMR・ポリペクトミー 3 6 9
ESD  16 33 39

 

2017年度 2018年度 2019年度
下部内視鏡検査 1,260 1,531 1,640
EMR・ポリペクトミー  232 455 600
ESD 12 27 22